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交流電流センサ解説3(周波数特性、比誤差と位相差)

周波数特性

カタログ記載データは、原則的に商用周波数(50/60Hz)での使用を前提として表示されております。
原理的に鉄芯の磁束密度は周波数に反比例するので、CTとしての特性は50Hz以下では低下し、高周波では拡大される方向にあります。
しかし、周波数の増加は鉄芯のコアロス増加・コイルの共振現象など、他のパラメータの制約もあります。
使用条件を良く確認して、仕様を決定する必要があります。
〔図−9〕にCTの代表機種である(CTL-6-P-H)の周波数特性図を記載します。

比誤差と位相角

・ 比誤差……(電流値の精度)
各測定点における理想値と実測値の誤差比率のことです。
表現方法は異なりますが、URD標準センサ全機種について記載されている結合係数(K)特性は、ある意味でこの比誤差特性を示したものと言えます。しかも、負荷抵抗の適正化で、比誤差の補正が可能です。

・ 位相角……(波形の精度)
測定原波形に対する出力波形の位相ずれのことです。
CT出力は通常進み位相となります。

この二つの特性は、電力計測用のCTにとって特に重要なファクターです。従来使用されている1A〜5A出力の計器用CTでは、JISの規定もあります。
しかしURDの電流センサは原理は同一でも、変流比が高く負荷抵抗など他のパラメータも加味する必要があり、JISの規定を適用することができません。
傾向としては、巻数とコア断面積が大きいほど、またCTL汎用シリーズよりはCTL-Zシリーズの方が比誤差・位相角とも良好な特性が得られます。
〔表−2〕、〔図−10〕、〔図−11〕に代表品種の特性を記載します。

〔表−2〕代表的電流センサの比誤差と位相角
(f=50Hz、RL=100Ω)測定:日本電気計器検定所